SOD スーパーオキシドジスムターゼ
活性酸素とは
1.さまざまな酸素のかたち
酸素とは、一言で説明すると生物が活動をするためには欠かせない元素です。
地球上のいたるところに存在し、ヒトはもちろんのこと、クジラや鳥、昆虫や植物といったあらゆる生物の活動に密接に関わっています。酸素はエネルギーの生成だけでなく、からだの構成、生息するための環境の維持にも大切なものです。
身の回りで酸素(O)が存在するところ
・エネルギーをつくるための空気・食事の中
・からだを構成する水分やたんぱく質のような成分
・地面や水中だけでなく、成層圏のオゾン層から地中奥深くのマントルまで
現在の調査では、空気中の21%(体積比)、地殻中の47%(重量比)が酸素と推定されています。こうしてみると、生物の活動というより地球の維持に欠かせないといった方が正しいかもしれません。
2.酸素がつくりだす化合物
酸素の正体は目に見えないほどの小さな原子であり、酸素原子が別の原子や化合物と結合する反応は“酸化”と呼ばれています。酸素が豊富な地球ではさまざまな場所でこの反応が起こっていて、例えば金属に付着するサビや花火の光の変化も酸化反応の一種です。
人間のからだの中でも酸化は日常的に起こっています。金属のサビと同様に、人間の酸化はからだに悪影響を及ぼすといわれていますが、酸素はエネルギーをつくるうえで必要なものなので、どうしても酸化のリスクからは逃げられません。
そして、酸素の中でも特に気を付けなければならないのが、別の分子と結合しやすくなる「活性酸素」と呼ばれる状態です。
3.活性酸素の怖ろしさ
活性酸素は、からだの中ではウイルスや細菌、紫外線などのストレスから身を守るためにつくられるものです。主にはミトコンドリアのエネルギー産生、他にも酵素反応などで発生し、ヒトの呼吸から取り込まれた酸素のだいたい1~3%が活性酸素になるといわれています。
活性酸素は、酸化反応が起こりやすい状態の酸素です。普段からからだの中に存在するものですが、激しい運動や紫外線により過剰発生してしまいます。このような過剰発生の原因は酸化ストレスと呼ばれ、過剰発生によりからだの酸化が促進されると、変性・不調・疾病といったような悪影響が現れるといわれています。
活性酸素が過剰発生する原因
4.酸化ストレスとそれを消去するもの
酸化ストレスは、体内の活性酸素が増大することで、段階的に進行します。
スタートは、活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)としてスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酵素の状態であり、それらが脂質やたんぱく質と反応することでフリーラジカルが増大し、さらにそれらが蓄積することで細胞、組織、器官、そしてからだ全体に影響が現れます。
これらの過剰な活性酸素やフリーラジカルを体内から消去することが重要となります。
★フリーラジカルとは電子対を持っていない状態の電子をもつ物質のことで、その物質は電子対を持つために他の物質と結合したがります。自然に発生するものでもありますが、光や熱、放射線によっても容易に生成され、過剰に発生したフリーラジカルは人体に悪影響をもたらすケースがあります。
過剰な酸化ストレスへの対抗手段として有効なものが「抗酸化物質」です。
活性酸素種を消去するものを一次性抗酸化物質、フリーラジカルを消去するものを二次性抗酸化物質と呼び、抗酸化物質の中には両者を消去するものもあります。
一次性抗酸化物質は体内で生成される酵素に多く、二次性のものとしてはビタミンやポリフェノールが有名です。
私たちの健康には、これらの活性酸素種とフリーラジカル、そして抗酸化物質が関与しています。